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Channel: 真空管アンプの自作と、クラシック音楽&家庭菜園&鉄道写真などなど
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常陸管球の会 第16回 自作アンプ試聴会

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「常陸管球の会」
 第16回 自作真空管アンプ試聴会
 
※2016/05/01 追加投稿(PCオーディオのDACについて
          一部情報を追加しました)
 
イメージ 164月29日(金)、茨城県那珂市の中央公民館視聴覚室で「常陸管球の会」の自作真空管アンプによる試聴会が開催されました。「常陸管球の会」は、現在、茨城県那珂市周辺の真空管自作アンプ愛好者をはじめ、茨城県内や、最近は熱心な県外の方もいる会です。今年で16回目となった今回の試聴会では、オーディオ雑誌等の執筆でもおなじみの大西正隆氏をゲストに迎え、大変盛り上がった試聴会となり会場も満席、90名以上のお客様がお見えになりました。
  今年は、展示アンプを除く13台の自作真空管アンプでの鳴き合わせとなりました。
 
【使用機器】
 
今回の試聴会で使用した機材です。
・スピーカー         アルテック 604C
・コントロール・アンプ  12AU7-SRPPトランス出力
                                      (会員の自作品)
・CDプレーヤー     デノン 1650SE
 
【出品アンプの紹介】
 
会場では製作者による、各アンプの解説と回路図のプリントを配布しましたが、ここでは試聴に使われた自作アンプ13台をアンプの構成を中心に簡単に紹介しましょう。(発表・試聴順)
いずれのアンプも自作経験の長いベテラン諸氏の作品だけに、どのアンプも魅力ある音を奏でていました。しかしながら若干、技術的に未熟な点もあり、今後の課題として取り組む必要性も感じました。なお、試聴結果の音についての感想等は、あくまで適当な表現による私の個人的な感想であることを御理解下さい。
 
■VT-4C(211)シングル・アンプ
   (K・Kさんのアンプ)
 
 イメージ 17アンプ作り50年以上のベテランさんの作品。初段は12AX7のSRPP、6S4Aでチョークを使用したカソード・フォロワーで、出力は約16W、山本剛トリオのジャズピアノを臨場感のある音で再現していました。
 
 
■VT-4C(211)シングル・アンプ
    (H・Tさんのアンプ)
 
  イメージ 18前記と同じVT-4Cアンプですが、こちらは初段管に12BH7A、次段も12BH7AでSRPPドライブによるCR結合。秋元順子のヴォーカルと葉加瀬太郎のヴァイオリンの音を見事に再現、同じ211のK・Kさんアンプとの競演となり会場も盛り上がりました。211はどちらのアンプも艶やかな伸びた高音が綺麗でした。
 
■WE300Bシングル・ロフチン・ホワイト・アンプ
   (T・Kさんのアンプ)
 
  イメージ 1ドライブにWE348Aを使用し、NFBに軽めの4dBかけた直結アンプ。OPTはLUXのOY-15。プレート電圧を少し下げているためにWE275Aも挿し替えられるよう設計されています。豊かな中域音と、雰囲気音を持ち合わせた輪郭の綺麗な音でジャズ・ヴォーカルを魅了しました。
 
■PX25シングル・アンプ (H・Sさんのアンプ)
 
  イメージ 2ドライブは、MH4を1本だけ使用というシンプルな回路(写真の76はダミーです)今回は整流管にガス入りのCK1006(DR1006を使用。美しい藤色の放電の光が神秘的でしたが、動作中の写真を忘れてしまいました・・・
清楚で中高域が綺麗なアンプですが、クラシックではチャイコフスキーの「1812年」の大砲の音や、クリスフォード・ブラウンのジャズトランペットでは、力強さも感じる音でした。
 
■WE101Lプッシュプル・アンプ
   WE300Bケミコンレス・シングルアンプ
   (私、HIROちゃんのアンプ)
 
  イメージ 3写真手前がWE101Lppアンプ、奥にあるアンプがケミコンレスのWE300Bシングル・アンプです。
 今回のメインはWE300Bアンプだったのですが、急遽、ブログでも紹介したWE101Lプッシュプル・アンプを披露。出力は0.6Wという小出力アンプですが、女声コーラスグループ「アンサンブル・プラネタ」の美しいア・カペラ・コーラスが会場を包みました。とても0.6Wとは思えない音を出してくれました。また、ケミコンを全く使用しないWE300Bシングル・アンプでは、雰囲気感のある宗次郎の癒されたオカリナの音や、ルロイ・アンダーソンの楽しいホーム・クラシックに全員が聴き入っていました。(自分のアンプなので自己満足です。回路構成等は、ブログ内の書庫から投稿記事をご参照下さい
 
■12BH7Aパラ・プッシュプル・アンプ
  (H・Nさんのアンプ)
 
 イメージ 412AX7のPK分割によるプッシュプル・アンプ。アンプ作りが好きだった学生時代を思い出し、当時のアンプを再現したもの。今回、唯一のMT管のアンプでしたが出力トランスにはLUXのOY-15-5を使用した贅沢設計。とても12BH7Aとは思えないバランスのとれた音でポール・モーリアや中島みゆきのヴォーカルを聴かせてくれました。
 
■12G-B3 SEPP&SRPPアンプ
  (H・Hさんのアンプ)
 
 イメージ 5単なるシングル・アンプには満足できず、実験のため左右でSRPP方式SEPP方式と、異なる回路の変わったアンプで、1台に2種のモノラル・アンプが混在したようなアンプです。最終的にどちらかに統一を考えているようですが、音を聴いた感じでは全く違和感はありません。SEPPの初段は12AU7によるSRPPドライブで、12AU7による位相反転。一方のチャンネルは12AT7のSRPPドライブによる12G-B3のSRPPとなっています。自作の丁寧に作られたアンプケースが素晴らしい。
 低域から高域までフラットな広帯域のアンプでポール・モーリアの豊かなサウンドと、再生の難しいソプラノの鮫島有由美子の抒情歌を見事に聴かせてくれました。
 
■F2aプッシュプル・アンプ (S・Hさんのアンプ)
 
 イメージ 6モノラル・アンプ仕立ての贅沢なもので、自作された木枠のフォルムが素晴らしいアンプです。12AU7AによるPK分割、5814AによるPPドライブ。ハシモトのHW-100を使用したOPTで聴く水森かおりの演歌は何とも言えず、聴く人の心に浸みわたるステージでの豪華な歌謡ショーを思わせるような音でした。
 
■ニュービスタを初段にしたEL34/三結PPアンプ
 (K・Mさんのアンプ)
 
 イメージ 7知る人ぞ知る、真空管アンプの神様的存在、オーディオ歴65年以上の「常陸管球の会」の会長さん。真空管アンプでわからないことがあれば、何でも解決してくれる・・・「オーディオ父さんの独りごと」のブログ名でもおなじみのKIYOさんだ。
 セラミック封じの超小型テレビ管ニュービスタ6CW4のSRPPを初段に12AU7のムラード型(グリッド接地型)による位相反転のEL34三極管接続PPのアンプ。
 このアンプ、他の試聴したアンプとは別格な音だ!・・・周波数特性は20Hz~20kHz-2dB、残留雑音0.3mV以下、出力は16W。今回は、会場の音場に合わせ、20Hz~20kHzまで一度、フラットな特性にしたアンプを2kHz付近から-2dB/octで下降させているとのことですが、なんとバランスのとれた豊かな音と臨場感だろう。OPTは決して高級品とは言えない東栄変成器の20W用ですが信じられないような豊かで伸びのある低音と中音域は聴いていて疲れを感じない素晴らしい音です。このアンプで聴く寺村容子トリオのジャズ・ピアノと、水森かおりの「鳥取砂丘」はなんとも魅力的でした。
 
■DAコンバーター (大西正隆氏)
 
 今回のゲスト、大西正隆氏の「ES9018S DualDAC」によるPCオーディオ。詳細は試聴会で配布された下記の資料を参照してください。
 
 
イメージ 8
 
 
 イメージ 9前記のKIYOさんのEL34三結アンプをメイン・アンプとして接続して聴いたDAコンバーターの音は、なんとクリアーで低域から高域までバランスのとれた輪郭のはっきりした音なのだろうか・・・と思ったのは私だけではなさそうです。 
 
イメージ 10 会場のあちこちで音にうなずく姿が多く見られました。ジャズ・ヴォーカルのライブ音源では、声
に厚みがあり説得力が感じられると共に、艶やかさや潤いも感じる素晴らしい再現力です。
試聴の後、大西氏から「メイン・アンプも大事だが、アンプの入り口の音も大事、関心を持ってもらいたい」旨の短いレクチャーがあり、会場から大きな拍手がありました。
 
2016/05/01 追加投稿(大西氏から情報を頂きました)
DACのプリント基板は
ここで頒布されています。
 
お詫び:大西様の機器の名前の表記を間違ってしまいました。
    正しくは「大西正隆」様です。大西様には大変、失礼
    いたしました。
 
■12E1/三結プッシュプル・アンプ
  (M・Yさんのアンプ)
 
 イメージ 11今回のアンプは、英国STC社の業務用ビーム管を使用したもので、初段増幅は6AN8の五極部を用いた差動アンプで、次段は6AN8三極部によるカソード・フォロワーとなっています。周波数特性は20Hz~50kHz 1dB、出力は約16Wとなっています。
 豊かなメリハリの効いたアニタ・オデイのジャズ・ヴォーカル、クラシックではショスタコヴィッチの交響曲を低域から高域までバランスのとれた力強い音で聴くことが出来ました。
 
■DA60シングル・アンプ (T・Wさんのアンプ)
 
  イメージ 19T・Wさんは昨年入会され、今回が初めての出品。ご自分の使用しているスピーカーTANNOYを鳴らすために製作したアンプとのこと。当初の音に納得せず、つい2か月前に出力トランスをノグチトランスのナノ結晶軟磁性コア(ファインメットコア)使用のFM-50WS-3Kに交換するなど、超高級部品を多く使用した力の入ったモノラル2台仕立てのアンプです。回路はWE275Aを1本だけを使用したトランスドライブのため、入力ゲインが低く、プリ・アンプで増幅をカバーしています。整流管も高価なWE274Aを使用するという力の入れようです。トランス結合ですがバランスのとれた音で、特にフルオーケストラのクラシックには相性が良いようです。J・シュトラウスのポルカ「雷鳴と稲妻」、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」のフォルテシモでは、力強い音を聴かせてくれました。
 
 
【番外編】
 
展示コーナー①会員HIROちゃん製作
 
・ドアノブ型送信管316A(VT-191)
    シングル・アンプ
・送信管8012A(VT-226)
   シングル・アンプ
・小型送信管1626(VT-137)
   パラシングル・ロフチン・ホワイトアンプ
71A/45兼用 コンパチブル・シングル・アンプ
 
 
イメージ 12
 
この中では316A8012Aの変わった形の真空管に多くの方が、興味を持ったようです。これらのアンプの詳細も、ブログ内の書庫の投稿記事で見ることが出来ます。
 
展示コーナー②
 会長KIYOさんの300Bロフチン・ホワイト・アンプ
 
イメージ 13
 
詳細はKIYOさんのブログにどうぞ・・・
 
展示コーナー③
会員「Yさんです」の巨大古典真空管?&自作トランスケース
 
イメージ 14
こちらの「Yさん」のブログにどうぞ・・・
トランスケースの製作は、こちら
 
展示コーナー④ 会員H・Hさんの自作歪み率測定器
 
イメージ 15
 
 
展示コーナー⑤ アマチュア無線家Wさんの真空管送信機
 
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今回は午前から午後までの開催であった事もあり、休憩時間や終了後も多くの方々と情報交換が出来、有意義な楽しい試聴会を行うことが出来ました。
真空管アンプを自作される方が少なくなってきている現在、真空管アンプを絶やさないためにも、会員一同、真空管の魅力を多くの方に、これからも伝えていきたいと思っていますし、出来れば製作技術等についても何らかの形で伝えていきたいと思います。
 
【おしらせ】
試聴会に来られた「元新潟のUさん」のブログでも、今回の試聴会についての投稿があります。
    ↓
  
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。
 

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