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男声合唱の名曲 その3/三木稔の作品

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  男声合唱の名曲 その3/三木稔の作品
       ----- 合唱による風土記「阿波」-----


イメージ 1

 この写真、今から45年前の1973年に撮影された1枚…
私が大学4年生の時の大学合唱団の定期演奏会の写真です。男声パートのどこかに私が写っています…とても懐かしい写真…いつも音楽を聴く部屋に飾ってある写真で、この写真を見ると何故か気持ちが若くなるのです。(ステージ上部の団旗は,どこの大学かわかってしまうので、写真をトリミングしてあります)
 私の所属していた大学の合唱団は混声合唱団でしたが、定期演奏会では第1ステージが女声合唱、第2ステージが男声合唱、第3ステージが混声でポピュラー(時に踊りや振り付けあり)、メインとなる第4ステージが混声合唱の組曲やミサ曲というような構成でした。
定期演奏会の他には女声部は別な大学と2校で定期のジョイントコンサートを、男声部は4大学連合で定期演奏会を行っていました。
 そんなこともあり、大学時代は混声合唱の他、男声合唱も良く歌っていました。
 
 男声合唱には多くの名曲がありますが、今回紹介する男声合唱曲は三木稔作曲による、<合唱による風土記「阿波」>という無伴奏の男声合唱です。
 三木稔(1930-2011)と言えば日本を代表する作曲家の一人、オーケストラ曲や三味線や尺八、箏(琴)といった日本楽器のための曲、オペラなどの作品が多い。
 また、大島渚監督の映画「愛のコリーダ」(1976年公開)の音楽を担当したことでも知られています。(この映画、映画館で見たのですが、どんな音楽だったかは全く覚えていません。フランスとの合作映画ですが、阿部定事件を題材にしたハードなポルノ映画?…修正やカットが多く見られた映画だった…そういえば大島監督が影響を受けたとか受けないとか言っていた、宮下順子主演の「四畳半襖の裏張り」という日活のロマンポルノもあった…これも観た!・・・若いころから私はスケベな変態だった!) ちょっと話がそれてしまいました。話を三木稔に戻します。
 
実は、彼の作曲家への原点となったのが合唱と言われているようです。

今回の<合唱による風土記「阿波」>は、1962年に作曲されたもので、徳島県(阿波)を舞台にした労働の歌です。しかし、この地方の民謡や、労働歌を伝統的に歌ったものではなく、三木稔の創造性が反映された旋律が多くなっています。曲は、「たいしめ(鯛締)」、「麦打ち」、「もちつき(餅搗)」、「水取り」、「たたら(踏鞴)」の5曲で構成されています。

 
第1曲 たいしめ(鯛締)

鯛締とは、鯛網を引く意味あるいは、豊漁への祝唄のようです。「ダシタナ」、「キリワイエ~ホ」、「ヤレコラ~」、「ヨ~イサヨイサア」などの掛け声が随所に聴かれ、盛り上がりのある、とても力強い曲です。

 
  うれしめでたの 若松さまは
  枝が栄えりゃ 葉も茂る
  岬鼻から 戻ろうとすれば
  鯛やサワラが 呼び戻す
  貯めた貯めたがよ この網ゃ貯めた
  磯の藻綿で 又貯めた
 
第2曲 麦打ち
 麦打ちは刈り取った麦を脱穀する様子を曲にしています。「ヨ~オイヨオ~オイ」 は、脱穀での掛け声、「ヨ~ホホ~」は、山鳥の鳴き声を表現しています。
歌詞は男女の会いたい気持ちを山鳥や鐘の音として表現したようです。
 
  山で山鳥ゃ 尾は長けれど
  しのぶその夜の 短かさよ
  山が暮れても 山鳥ゃ飛ばぬ
  可愛い我が子に 魅()かされて
   鐘がゴンと鳴りゃ はよいのいのと
  ここは寺町 何時も鳴る
 
第3曲 もちつき(餅搗)
 餅つきの歌、「大黒」、「恵比寿」、「福の神」、「富貴」、「鶴亀」 など縁起の良い言葉が続きます。「ドンタント~ン…ドンタント~ン…」は、餅の搗き手の擬音、「ゴシャシャノシャンシャン」と、手締めで曲が終わります。
 
  旦那大黒 奥さん恵比寿(えべす)
  ひとりある子の 福の神
  御所のお庭で 扇を拾て
  扇めでたい 末繁盛
  裏へ出て見りゃ 茗荷や蕗が
  冥加めでたい 富貴繁盛
  伊勢へ七度 熊野に三度
  若戸様へ ふきまいり   
  世治まる 思ったなのさ
  末は鶴亀 五葉の松
  一石二石三国一の
  餅搗きゃすました
  ゴシャシャンノシャンシャン
 
第4曲 水取り
「水取り」は、井戸から「はねつるべ」で水を汲んできて畑に蒔く作業での労働歌。この曲の原曲は「水取り唄」で、老婆の声から作曲者が採譜したものですが、旋律は大きく変わっているようです。
バリトンの旋律で歌う 「じわじわと 突っこめや 早や持ち上げる さても具合な はねつるべ」・・・とは意味ありげな歌詞ですね。男の方ならわかるよね・・・
 
  山鳥ゃ 子にこそ迷え
  たち別れまい この森を
  じわじわと 突っこめや
  早や持ち上げる
  さても具合な はねつるべ
 
第5曲 たたら(踏鞴)
 終曲の「たたら(踏鞴)」は「鞴(ふいご)」を踏む労働の様子を歌ったもの。 <東西東西~ 東西南北 鎮まりたまえ~>と、力強い掛け声から曲が始まります。徳島県下の「たたら節」、「たたら音頭」の中からの言葉を選び、三木稔の独創的なリズム、旋律によって作曲したもので、力強く曲をしめます。
 
 <東西東西 東西南北 鎮まりたまえ~~>
  エイエイサッサ エイサッサ~
  ヤットサッサ エイサッサ~
  ヨウそれ踏めや それ踏めや
 <親方酒手はどうじゃい どうじゃい>
  そんなら踏め踏め ヤッシッシ
  色はちっくり 黒てもままよ
  人に好かれる 笑顔よし
 <黄金は世界の惚れ薬>
  いつも無理に 頭布をかむり
  家で遊びを するよりは
  たたら踏むのが 面白い
  エイエイサッサ エイサッサ
  ヤットサッサ エイサッサ
  ヤットコセ ヨイヤナ
  コレワイセ さあさ何でもせ
 
 この曲は大学時代に4大学連合の定期演奏会で、全曲を歌った経験があり、思い出の多い曲です。合唱の魅力を彷彿とせる名曲のひとつだと思いますが、残念ながらLPやCDは、現在、廃盤になっていて音源は持っていません。

しかしながらYouTube で関西学院グリークラブのライブ演奏を映像と共に聴くことが出来ます。ぜひ聴いてみてください。名演です。

こちらです。クリックすればつながります。

過去の投稿記事
この「合唱曲(邦人作品)」の書庫には次の投稿があります。
■男声合唱の名曲 その2/多田武彦の作品
■男声合唱の名曲 その1/清水脩の作品
■高田三郎/合唱組曲「水のいのち」
中田喜直/女声合唱曲集
團伊玖磨/合唱組曲「筑後川」の投稿はこちら
私のお薦めの邦人作曲家の合唱曲の特集記事は、こちら
 
では、またね・・・・HIROちゃんでした。 



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