2A3シングル・アンプの改造③ 電源部強化
※電源部を少し強化した理由と、最終電源回路と、その写真
を紹介します。
ブロ友のコロッケさんの2A3アンプの改造の3回目の投稿
です。既に配線作業も終わり、音を聴きながら電圧等のチェック
をし、最終の調整をしたのですが、電源部を少し強化し、変更し
ました。
最終的には多分、これ以上の改造の必要はないものと考えていま
すが、配線等を全て取り外し、初めから作り直した責任もありま
すので、きちんとした状態で、アンプをお返ししたいと思ってい
ます。
さて、タイトルのように、このアンプについては、増幅部の回路はそのままとし、電源部を見直し、昨日、最終的には電源部を少しだけ強化しました。
下記の回路図で、改造前と、改造後の電源部について説明しましょう。回路図には簡単な改造ポイントは書きましたが、この回路図の次に少し詳しく説明します。
(下の回路図は拡大して見てください。右下のマークをクリック)
改造前の電源部は非常にシンプルですが、上記の回路図にも記したように、ドライブ回路にSRPPドライブ回路を採用していますが、SRPPドライブ回路の場合、通常はヒーター・バイアスをかけるのが普通です。
しかし、このアンプでは省略されていました。
----- ヒーター・バイアスとは? -----
このアンプでは高域特性が良いとされるSRPP回路が採用されています。2A3シングル・アンプでは良く採用される回路です。
しかし、この回路の場合、12AX7の片側ユニットのカソードに高電圧がかかります。今回のアンプでは、ここの電圧が約120~130Vになっています。
一般的に真空管の規格には、ヒーター/カソード間の耐圧の規格があります。(書かれていない規格表もあります)この規格を守らないと真空管を壊すばかりでなく、アンプの故障にもつながります。
12AX7のヒーター/カソード間の耐圧の規格は、180Vなのでヒーター・バイアスはかけなくても、このアンプの場合は、大丈夫かもしれませんが、カソードに高電圧がかかる場合には、ヒーター・バイアスをかけたほうが安全で、かつ、ハム防止にもなります。
ヒーター・バイアスを詳しく事例で説明すると、良く使われるGT管の6SL7-GTをドライブ管としてSRPP回路で使用するとします。(この回路例は多いですネ・・・)
この場合、12AX7の規格とは異なり、6SL7-GTのヒーター/カソード間の耐圧規格は、90Vです。
通常のSRPPドライブの場合、片側ユニットのカソードの電圧は、100V以上になり、規格をオーバーすることになります。
そこで、ヒーターの片側に数十Vの電圧をかけてヒーター/カソード間の電圧を規格内に下げる方法です。
仮にカソードに130Vの電圧がかかっていたとします。その場合、6SL7-GTの規格は90Vですので、130V-90Vで40Vオ-バ-します。そこで例えば70Vの正電圧をヒーターの片側にかけると、130V-70V=60Vとなるので90V以内となり、規格内になります。
具体的に、この電圧のかけ方ですが、上記の「改造後電源部」の回路のようにB電圧を抵抗で分圧して、数十Vの電圧をドライブ管のヒーター片側に接続します。
2A3シングルで6SL7 -GTのSRPPドライブの場合、6SL7-GTの片側のカソードの電圧を120V位に抑えれば、2A3のバイアス電圧がパスコンのプラス側とシャーシ間で45V位なら・・
120V-45V=75Vとなりますので、6SL7-GTのヒーター/カソード間の電圧規格90Vの範囲内とすることが出来ます。
この方法は、線をつなぐだけで簡単ですが、上記の改造後回路図のようにB電圧を分圧して、かける方法が電圧も抵抗値を変えることで自由に設定できます。また、ここに使用した抵抗がブリーダー電流としてアースに流れるために、ドライブ回路の安定化にもなるので、こちらの方をお薦めします。
当然のことながら、ヒーター・バイアスをかける場合には、別側のヒーター片側は絶対にアースに落としてはなりません。
ヒーター・バイアスの説明が長くなりましたが、最初に改造した改造後電源部①では、ヒーター・バイアス回路の追加の他、整流管からの整流後に電解コンデンサー(ケミコン)への直流電流の突入防止と、B電圧の微調整として51Ωの抵抗をシリーズで入れました。これにより整流管のフィラメントへのダメージが軽減されますので、次のケミコンの容量を整流管のコンデンサー・インプットの規格より容量を少し大きくすることが出来ます。
しかし、最初に配線した改造後電源部①では、チョーク・トランス後のケミコンの容量が47μFで少し足らない感じがします。整流管後の450V22μFのケミコンの容量は、整流管の寿命を考慮し、あまり増やしたくありません。
そこで、改造後電源部②の改造では、ここの47μF+47μFのブロック・ケミコンをパラにして容量を100μF(実際には47μF+47μF=97μF)とし、12AX7へのB電源用として350V33μFを追加しました。(実際には、ここでももう少し大きな容量のケミコンを使いたかったのですが、適当な手持ちがなく、33μFとしました。
なお、ケミコンにパラにつないだ、600V0.22のフィルム・コンデンサーですが・・・これは音が良くなるオマジナイです。。。
フィルム・コンをケミコンにパラッてつなぐと、ケミコンのクセ?のある音が軽減されるようで、マニアの方は良く使用しますが、私は駄耳で音の違いが良くわかりませんが・・・なので・・・「音が良くなる御呪い」だと思ってください・・・
(パスコンにもフィルムコンをパラにつなぐと良いみたいです。今回は、フィルムコンデンサーの手持ちの関係で、「オマジナイ」は1か所です。。。。
2回目に改造した改造後電源部②(最終回路)のシャーシ
裏の写真です。
ヒーター・バイアス分圧用の51KΩの抵抗は、写真の200V22μFのケミコンの下にあります。少し抵抗やコンデンサーを追加したら少し狭くなり、配線作業もチョットだけやりにくかったのですが、何とか配線を終了・・・前記の「音の良くなる御呪い」が黄色で目立ちますね・・・いい音にな~れ・・・いい音にな~れ・・
電源部の改造の投稿記事だけで、だいぶ長い記事になりました。
明日1日だけ、最終的に試聴の上、「コロッケさん」にアンプをお返ししますので、楽しみにしていてください・・・
なお、今回の総括と、改造後のアンプ全体の最終回路、写真、試聴結果等は、出来れば明日にでもあらためて投稿したいと思います。
----- 参考記事 -----
このアンプの診断・改造に関するこれまでの投稿です。
アドレスをクリックすると記事につながります。
2A3シングル・アンプの診断/改造 ①
2A3シングル・アンプの/改造 ② 配線終了
では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした。![]()
