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ブロムシュテット/ベートーヴェン交響曲全集

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 ブロムシュテット/ベートーヴェン交響曲全集

 今回は、ヘルベルト・ブロムシュテット指揮のベートーヴェン交響曲全集を購入したので紹介します。
 ベートーヴェンの交響曲としては、各1曲ごとに見ると、第1番から第9番「合唱」まで全て100枚以上ありますが、全集となると私にとっては91種類目のライブラリーとなります。いくらベートーヴェンが好きだと言っても、ここまでくると完全に病気・・

イメージ 1

 ブロムシュテットと言えば、今年で90歳を迎えました。
2014年の来日公演で、NHK交響楽団を指揮したチャイコフスキーの交響曲第4番と、モーツアルトの交響曲第39番を生のコンサートで聴くことが出来ました。この時にはブロムシュテット氏は87歳。指揮台に向かって背筋をピンとさせ、スタスタと軽やかに入ってきた若々しい白髪のダンディー姿に驚きました。この時の演奏は素晴らしく、N響も巨匠がタクトをとると、これほどオケの音が変わるのか!・・と感じた演奏会でした。

 さて、今回紹介する全集は、2014年から今年2017年にかけてライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団と録音した全集です。(録音データについては末尾に記載します)
イメージ 2  ブロムシュテットとしては、1975年か
ら1980年にかけて、シュターツカペレ・
ドレスデンと録音した全集に続く2度目の
全集録音となります。(第1回目の全集は
何度も再販されていますが、手許にあるの
は、ブリリアント・レーベルから発売され
た廉価版のBOXです) 右の写真です。

 今回発売された、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との演奏ですが、第1回目のシュターツカペレ・ドレスデンとの録音と比較するとだいぶ異なります。まず、驚いたのがテンポの速さです。普通ですと高齢になるにつれ、曲のテンポも遅くなっていくのが多いのですが、今回の録音では、ほぼ全曲を通して、かなりテンポが速くなっています。ベートーヴェンが楽譜に示したメトロノーム記号に従った演奏なのかもしれません。
 全9曲とも、年齢を全く感じさせない躍動感のある堅実な演奏、と言ってよいでしょう。また、共通していることですが、最弱音から最強音までの音域が広く感じることです。変な表現ですが、pp(ピアニシモ)はppらしく、ff(フォルテシモ)はffらしく聴こえることです。

 全部の曲の詳しい感想は書きませんが、印象に残った演奏について少しだけ述べてみましょう。
 第1番、第2番ですが、軽快な中にも力強さも見られます。特に第1番は2017年、90歳の録音とは思えない躍動感があります。

 第3番「英雄」ですが、早いテンポのためか、単に聴き流すと感情表現が薄いように感じるかもしれません。しかし、クレッシェンドや、ディミヌエンド、スフォルツァンドを効果的に使ったきめ細かな指示をしていることが随所に見られます。特に第1楽章が顕著でしょうか・・・

 第4番、第5番ですが、第1番と同じ2017年、90歳での録音。
第4番は、かなりテンポの速い演奏ですが、特に第1楽章、第4楽章が素晴らしく、力強い迫力があり、これが90歳の指揮かと驚きと感動です!
 第5番も同様、フルトヴェングラーのようなウネリや、テンポルバートは、あまりありませんが、迫力と共に力強さ、緊張感を感じる演奏。90歳の指揮・・この全集の中では、最も新しい録音の第1番、第4番、第5番が個人的にはベストかも!

 第6番「田園」ですが、この曲は私にとって非常に評価しにくい曲なのですが、やや速めの第1楽章と、第2楽章、第3楽章とも軽快で心地よく聴こえます。第4楽章の嵐は迫力のある演奏で、聴きごたえがあります。この楽章の表現は、他の指揮者では聴けない、なかなかの表現。第5楽章まで聴くと、これまで感じていた「田園」とはチョット異なり、あまり進んで聴くことのなかった曲ですが、内面的な感情表現、そして曲全体の中に音楽的な要素が多く含まれていることをあらためて感じさせられた演奏でした。

 第7番は、印象としては第3番「英雄」と同様。ここでは第1楽章、第4楽章の力強さ、迫力、第2楽章、第3楽章での緊張感が良い。ここでは第4楽章がベスト。

 第8番は、正直、私の好みとしてはやや期待外れ・・・
第1楽章、第4楽章はもう少し迫力と力強さが欲しいかな~~~
第2楽章、第3楽章では、ちょっとあっさりか?と思うところも若干・・・第3楽章メヌエットのトリオで、もう少し牧歌的な感じが・・・ホルンとクラリネットの音が部分的にやや雑なところもあるかな?

 第9番「合唱」・・・う~~ん・・・どう表現したらいいのか・・・全曲で約65分と早めのテンポの演奏。第1楽章、第2楽章などは迫力もあり聴きごたえがありますが、第3楽章はかなりテンポが速く13分23秒・・・私の好みから言えばテンポは速すぎ。それでも淡々とした流れではなく、細かな表現が聴かれます。
第4楽章ですが、オケと合唱とのバランスは最高でしょう。合唱団の技量、そしてブロムシュテットの指示も細部にわたって行き届いた素晴らしい合唱と言えます。
この第4楽章での欠点?は、独唱陣。特にテノールの独唱・・・チョット弱弱しく感情表現も少し平凡か・・・少し頼りなく聴こえます。

 今回の感想は一度聴いただけの寸評で、もう一度、聴きなおせば感想も、多分変わるでしょう。聴く人の好みによっても演奏の評価は異なります。
また、少し時間をおいて聴きなおすと新しい発見をするものです。そのうち、また聴いてみたい演奏であることには間違いありません。
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 せっかくなので、シュターツカペレ・ドレスデンと録音した最初の全集の中から、何曲か比較のため聴いてみました。
甲乙どちらともつけがたい演奏です。
録音年や録音場所、オーケストラの違いはありますが、オーケストラの響きや重厚さ、曲のテンポなどを考えると、個人的にはシュターツカペレ・ドレスデンとの録音のほうが好みです。
 90歳とは言え、まだまだ活躍できる巨匠だと思います。

今回の全集の録音データー等です。購入先のタワーレコードの通販サイトからコピーしました。

【曲目】
交響曲第1番ハ長調 Op.21
交響曲第2番ニ長調 Op.3
交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』
交響曲第4番変ロ長調 Op.60
交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』
交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』
交響曲第7番イ長調 Op.92
交響曲第8番ヘ長調 Op.93
交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』
【演奏】
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
ヘルベルト・ブロムシュテット(指揮)
シモナ・シャトゥロヴァー(ソプラノ藤村実穂子(アルト)
クリスチャン・エルスナー(テノール) クリスチャン・ゲルハーヘル(バリトン)
MDR放送合唱団  ゲヴァントハウス合唱団  ゲヴァントハウス児童合唱団
【録音】
20145(8)
201412(3)
20155(7)
201512(2&9)
20165(6)
20171(5)
20173(1&4)
録音場所:ゲヴァントハウス・コンサートホール(ライヴ)
 
 この「交響曲」の書庫の中には次の投稿記事
 があります。
下記のタイトルをクリックすると記事に繋がります。
 (86種類目のベートーヴェン交響曲全集です)
  交響曲第9番「合唱」

  では、今日は、このへんで・・・HIROちゃんでした 



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