ホーレンシュタインのベートーヴェン交響曲
------ こんな「英雄」の演奏があった -----
ヤッシャ・ホーレンシュタイン(1898~1973)は、ウクライナ出身のアメリカで活躍したユダヤ系指揮者です。1920年代にはフルトヴェングラーの助手などを務め、ウィーン交響楽団やベルリン・フィルハーモニーなどを指揮しましたが1940年に渡米しています。マーラーやブルックナーが得意なようです。(残念ながら彼のマーラーは持っていません)
ヤッシャ・ホーレンシュタインについては以前、このブログでブルックナーの交響曲について投稿しましたが、今回は彼のベートーヴェンの交響曲を紹介します。
私の手許にあるホーレンシュタインのベートーヴェンは下記の4枚、すべてVOX原盤のもので、すべてモノラル録音です。
ベートーヴェン 交響曲第3番 「英雄」
ウィーン・プロ・ムジカ交響楽団
ベートーヴェン 交響曲第5番
ベートーヴェン 交響曲第6番 「田園」
序曲集
ウィーン・プロ・ムジカ交響楽団 ※2枚組
ベートーヴェン 交響曲第9番 「合唱」
ウィーン・プロ・ムジカ交響楽団
ウィーン楽友協会合唱団
ヴィルマ・リップ(S)エリーザベト・ヘンゲン(A)
ユリウス・パツァーク(T)オットー・ヴィーナー(Bs)
現在、ベートーヴェンの交響曲は全集だけでも87種類がライブラリーとして手許にありますが、上記の第3番「英雄」、第5番、第6番「田園」、第9番「合唱」は、それぞれ、たぶん100種類以上が手許にあると思います。(こうなると重篤な病気ですネ・・・)
今回、あらためて4曲を聴き直してみましたが、これまで何気なく聴き流していたベートーヴェンでしたが、凄い演奏を再発見!・・
それは第3番「英雄」
第1楽章の冒頭の2回の和音の響きからして押し出すような大音響で大爆発・・・・全体的に遅めのテンポですが特に第1楽章でのせまりくる迫力は凄い。ティンパニーの強打・・・・金管楽器の炸裂・・・・一音一音に力と魂のこもった「英雄」です。聴いていて大爆発すると、フルトヴェングラーも顔負け的なところも・・・・これほどの凄演だとはこれまで気がつきませんでした。第2楽章も同様、一度爆発するとものすごいこと・・・ただし第4楽章では第1ヴァイオリンのアクセントや、クレッシェンドが強すぎて、少しいやらしく聴こえるところもあるのが残念。
少し古い録音の「英雄」ですと、フルトヴェングラー/VPO、トスカニーニ/NBCや、シンフォニー・オブ・ジ・エアを指揮したブルーノ・ワルターのライブ、コンヴィチュニー、カイルベルト、ヘルマン・シェルヒェンなどが好きな演奏で、かなり古いですがメンゲルベルクなどもなかなか面白い演奏です。これらの演奏を好まれるマニアの方で、少し変わった「英雄」を聴いてみたい・・・・と思われている方には、ぜひホーレンシュタインの「英雄」を聴いてみてください。とにかく第1楽章が凄い・・・!
ただし、そのほかの第5番、第6番「田園」、第9番「合唱」については少し平凡・・・「英雄」で見られた大爆発が無いわけではありませんが、「英雄」の迫力や大爆発は少し影をひそめています。
なお、第5番についてはモノラル録音ですが、録音場所のためか、あるいは録音技術者の意図的なものか良くわかりませんが、凄い残響がはっきりと録音されています。この第5番の演奏もなかなかですが、第6番「田園」、第9番「合唱」は個人的には、ややもの足りなさを感じます。ただ、第9番「合唱」では、ワルター/VPOのマーラーの「大地の歌」のテノール、1947年録音のカラヤン/VPOとの「第九」で歌っていたユリウス・パツァークが担当していることに興味をひきます。
なお、「ウィーン・プロ・ムジカ交響楽団」なる団体は、ウィーン・フィルのメンバーで特別編成されたオーケストラとのことですが、実態は良くわかりません。
不思議なもので、初めて聞いた時は、ものすごく感動した演奏が、あらためて聴いてみると、結構つまらなかったり、逆に今回のように、聞き流していた凡演と感じたものが新たな感動を得ることもあります。そんなことを考えていると「音楽」とは不思議なもの・・・・と考えてしまいますね・・・
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この書庫の中に次の投稿記事があります。下記のタイトルをクリックすると記事に繋がります。(86種類目のベートーヴェン交響曲全集です)交響曲第9番「合唱」では、今日は、このへんで・・HIROちゃんでした。