男声合唱曲の名曲 その1/清水脩 作品から
--- 組曲「月光とピエロ」/合唱組曲「山に祈る」/その他 ----
今回は、邦人作曲家の「男声合唱曲」の名曲(名演奏)を紹介します。
日本人の作曲家の團伊玖磨、諸井三郎、大木正夫などの交響曲などは、聴きごたえのある曲であると共に、黛敏郎、伊福部昭、武満徹、間宮芳生などなど、多くの邦人作曲家が名曲を残しています。クラシックファン音楽は聴くジャンルも多く、聴き方や楽しみ方もいろいろです。
どうしても、ベートーベンやモーツアルトなどなど…が中心となることが多いのですが、邦人作品もたくさん聴いてほしいと思います。
それらの邦人作曲家の中で、オーケストラ伴奏を伴う合唱組曲など、数多くの合唱の名曲があります。ぜひ聴いて欲しいものです。
個人的な話ですが、私自身、中学校時代からの合唱経験者で、高校時代から一般のアマチュア合唱団で歌っていました。(高校には女声合唱団しかなかった) 高校時代、茨城大学グリークラブ(今は無いと思う?)の定期演奏会を聴きに行き、男声合唱の魅力に取りつかれました。
大学の合唱団では混声合唱でしたが、定期演奏会では女声合唱、男声合唱、混声合唱の曲を演奏しました。また、他大学との合同演奏会もあり、女声は2大学と、男声は4大学との合同の定期演奏会がありました。50年近く昔の話ですが、今でも大学の合唱団は活動していて、他大学との定期演奏会もやっているようです。
さて、今回から間は他の投稿記事などで空きますが、何回かに分けて邦人作曲者の「男声合唱曲」の名曲(名演奏)を紹介します。
これらについては、私の持っているLP、CDの紹介、そして一部の曲についてはYou Tube から演奏を聴けるよう紹介します。
(末尾に曲ごとのYou Tube のアドレスを入れておきます。クリックすれば、You Tube の画面になり聴くことが出来ます)
1回目は清水脩作品について紹介します。
清水脩と言えば、合唱経験者なら初めに思い浮かぶ曲は、合唱組曲「山に祈る」と、組曲「月光とピエロ」でしょうか…共に、清水氏の名曲中の名曲。
「山に祈る」は、山で遭難して亡くなった上智大学の学生の母親役が、ステージで遺体と共に見つかった、遭難時の手記を朗読しながら演奏が進む。演奏会の会場は涙と感動に包まれる実話を元に作曲された合唱組曲の名曲…元々はダーク・ダックスからの委嘱作品として母親が寄せた記録をもとに清水氏が詞を書き下ろし、ピアノ伴奏付きの男声四重唱として作曲したものです。
その後、清水氏により男声合唱や、混声合唱に編曲され、ピアノ伴奏の他にオーケストラ伴奏のかたちにも編曲されています。
私の手許には、この2曲がカップリングされたLPレコードがあります。
■合唱組曲「山に祈る」(男声合唱/オーケストラ版)
指揮/若杉弘 合唱/同志社グリークラブ
ビクター・フィルハーモニー・オーケストラ
コンサートマスター/田中千香士 語り手/河内桃子
録音/1970年8月29日 世田谷区民会館
■組曲「月光とピエロ」(無伴奏男声合唱)
指揮/清水脩
合唱/東京混声合唱団(男声)・二期会合唱団(男声)
録音/1970年8月29日 世田谷区民会館
どちらの演奏も名演奏・・・特に「月光とピエロ」は、作曲者自身の指揮によるもの。プロ合唱団の声は男声合唱を彷彿させる重厚なハーモニーだ…バスの低音が凄い。じっくりと聴かせる名演です。
興味深いのは「山に祈る」、若杉弘の指揮によるものですが、録音場所と日付が同じ1970年8月29日 世田谷区民会館、おそらく作曲者の清水氏立会いの下で録音されたものと推測されます。
同志社グリークラブの合唱はアマチュアながら合唱技術は非常に高い。また、ナレーターの河内桃子さん…さすが女優さんだ…朗読の感情表現が素晴らしい。
下記のCDは、2種類の演奏者による「山に祈る」が収録されている。一つは、上記のLPと同じ音源の若杉弘/同志社グリークラブの演奏ですが、もう一つは作曲者清水脩氏による演奏。
■合唱組曲「山に祈る」
(男声四重奏と混声合唱団/オーケストラ伴奏版)
指揮/清水脩 合唱/二期会合唱団
男声四重唱/栗本正・立川澄人・島田恒輔・中村健
東京フィルハーモニー交響楽団 朗読/加藤道子
男声四重奏と混声合唱団による演奏。
こちらの演奏も素晴らしい。この演奏、1960年録音と古いがステレオで鑑賞には十分。男声四重奏の4人は凄いメンバーだ。この中の往年の声楽家、栗本正氏は私が大学の合唱団にいた時の常任指揮者。個人的にも発声法なども学んだり、お酒を一緒に飲んだことが懐かしい。
(話は違うが栗本氏の奥様は、ソプラノの栗本尊子さん。90歳超えても現役でリサイタルをしていましたね。現在でもご存命です)
二期会合唱団は少人数だが、さすがはプロだ。
朗読はNHKの「日曜名作座」でおなじみだった女優の加藤道子さん、こちらの朗読がまた素晴らしい。
『月光とピエロ』/清水脩作品集(全曲とも無伴奏男声合唱)
■組曲「月光とピエロ」
前記のLPレコードと同音源
■黙示
指揮/水谷昌平 東海メールクワイヤー
■阿波祈禱文
指揮/水谷昌平 東海メールクワイヤー
■アイヌのウポポ
指揮/北村協一 関西学院大学グリークラブ
■智恵子抄巻末のうた六首
指揮/水谷昌平 東海メールクワイヤー
この中では「アイヌのウポポ」が名演。関西学院大学グリークラブは男声合唱団として昔から技術の高い団体だ。
指揮者の北村協一は、福永陽一郎、関谷晋らと共に、日本の合唱界に貢献した人たちです。
【You Tube での演奏紹介】
残念ながら上記で紹介された同じ演奏はYou Tubeでは、検索した限りではアップされていませんでした。
別な演奏となりますが、聴いてみてください。タイトル下のアドレス」をクリックすればつながります。
■組曲「月光とピエロ」
関西学院大学と高等部有志、新月会との合同演奏
2009年、関西学院グリークラブのリサイタルのライブ映像ですが
素晴らしい演奏です。
■合唱組曲「山に祈る」 全曲
残念ながら私の気に入った全曲の演奏がありませんでした。
こちらの演奏を聴いてください。録音も悪いのですが、曲の雰囲気、
朗読の内容などは知ることが出来ます。
■日本民謡集から
清水脩氏は多くの日本民謡を男声合唱に編曲しています。
その中から「最上川舟歌」をどうぞお聴きください。
合唱は慶応義塾ワグネル・ソサエティー、指揮は北村協一
次回は男声合唱の経験者なら必ず歌った経験がある、多田武彦
の作品について紹介します。
過去の投稿記事
この「合唱曲(邦人作品)」の書庫には次の投稿があります。
■高田三郎/合唱組曲「水のいのち」
■中田喜直/女声合唱曲集
■團伊玖磨/合唱組曲「筑後川」の投稿はこちら
■私のお薦めの邦人作曲家の合唱曲の特集記事は、こちら
では、またね・・・・HIROちゃんでした。
